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空想と冒険の絵本おすすめ3冊|TikTok紹介の眠らない夜・空飛ぶパン・ククル
公開日:2026.10.17 更新日:2026.10.17

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いつもの部屋から、まだ見たことのない場所へ。絵本の冒険には、特別な道具も長い移動時間もいらない。眠りたくない子の夜、空に浮かぶパン、船乗りに会いに行く小さなテナガザル。出発のきっかけが違えば、ページの向こうに広がる世界も変わる。
今回は、絵本を紹介するTikToker カシカンの絵本(@casican_ehon) の冒険絵本投稿から、おすすめの3冊を取り上げる。TikTokの紹介順に優劣をつけるのではなく、主人公が何をしたくて出かけるのか、どんな場所へ向かうのかを手がかりに比べたい。
にぎやかな空想を楽しみたい日には夜や空の物語を、登場人物の気持ちを追いたい日には森の旅を。読み終えたときの答えを先に説明するより、最初の場面で「どこへ行くのだろう」と気になった本から開くと、物語そのものを味わいやすい。
『ぜったいぜったいねるもんか!』|まだ起きていたい夜が冒険になる
マラ・バーグマンが文を、ニック・マランドが絵を手がけ、大澤晶が訳した、ほるぷ出版の絵本。表紙では、布団から顔を出した子どもの後ろに街が広がり、青い空には乗り物や月が見える。眠る場所と外の世界が同じ画面に収まった書影から、夜に始まる冒険の気配が伝わる。
絵本ナビの編集解説で紹介されているのは、眠ってしまうのがもったいないと思っているオリバーだ。こっそりベッドを離れたところから、魔法や乗り物を伴う空想が広がっていく。「もう寝なさい」という大人の都合とは別に、子どもの側には、まだ面白いことがあるはずだという気持ちがある。その出発点がこの本の面白さだ。
寝室が舞台だからといって、静かな風景だけを眺めるお話ではない。夜の時間を使って遠くへ出かける展開に目を向けると、寝る前の本棚にも、昼間に読む冒険絵本の棚にも置きたくなる。親子で読むなら「自分なら何に乗って出かける?」と、表紙の乗り物から話を始めるのも楽しい。
この本を選ぶ決め手は、眠りたくない気持ちを冒険の入り口として読むこと。先に行き先をすべて教えず、ベッドの外に何が待つのかをページに任せたい。書店によって紹介文や書影の表示が異なる場合も、マラ・バーグマン、ニック・マランドの組み合わせで作品を合わせられる。書誌・作品紹介:絵本ナビ。
買う前に確認
文:マラ・バーグマン/絵:ニック・マランド/訳:大澤晶。ほるぷ出版の同名作品。
『そらとぶパン』|パンの列車で、雲の向こうの国へ
深見春夫が作・絵を手がけた、PHP研究所の『そらとぶパン』。出版社の紹介では、駅に到着した列車の形のパンに子どもたちが乗り込み、そのまま空へ浮かび上がる。パンを食べるだけでなく、パンに乗って出かけるという発想が、物語を大きく動かす。
向かう先には、パンでできた夢の国がある。身近な食べ物を出発点にしながら、景色や移動の仕方まで空想に変わっていくのが魅力だ。表紙にも、長いパンから顔を出した子どもたちと、パンのような雲が描かれている。青空と茶色いパンの対比が分かりやすく、書影だけでも「食べ物」と「乗り物」が結び付いた世界を楽しめる。
出版社の紹介には、旅の途中で怪獣が現れる場面もある。のんびりした空の散歩だけでは終わらないので、次に何が起こるかを楽しみながら読みたい。ここでは結末を先に追わず、雲の中へ進んだ先の景色や、子どもたちが出会う出来事を本の中で確かめよう。
パンが好きな子には、食卓にあるものと絵本の中の形を見比べる入り口にもなる。列車になったパンを見てからいつものパンを見ると、「これならどこへ行けそう?」という遊び方が生まれる。物語の続きを急ぐ日も、見開きの景色を眺めたい日も、空を飛ぶ乗り物の発想が中心にある本だ。作品情報・内容:PHP研究所。
買う前に確認
深見春夫 作・絵/PHP研究所。正式な書名は『そらとぶパン』。
『ちいさなククル』|会いたい相手を目指して、森を抜ける
はんまけいこが文・絵を手がけ、大日本図書から刊行された絵本。主人公は、テナガザルの子どもククルだ。憧れの船乗りガブおじさんに会いたくて、お母さんのもとを離れ、海を目指す。行き先だけでなく、会いたい相手がいることが、この冒険を支えている。
CiNii Booksの書誌に掲載された内容説明では、海へ向かう途中に暗い森がある。行ってみたい気持ちと、知らない場所へ踏み出すときの緊張。その両方を主人公と一緒に追う物語として選べる。夜の空想やパンの乗り物とは違い、目的地までの道のりに気持ちを重ねながら読み進めたい本だ。
正面の表紙には、木の枝にぶら下がるククルと、その周囲の動物たちが描かれている。主人公だけを大きく見るだけでなく、枝や木の周りにどんな動物がいるかを探す楽しみもある。読む前に表紙を眺めて、ククルの手や足がどこにあるのか、どちらへ進みそうかを話してみてもよい。
お話を選ぶときは、怖い場面の有無だけで決めるより、ククルが誰に会いたくて出発するのかに注目したい。「会いに行きたい」という身近な気持ちから、森と海へ物語が広がる。旅の行く末は絵本に残して、出発するときの表情を親子で見てみよう。正式書誌・内容説明:CiNii Books。
買う前に確認
はんまけいこ 文・絵/大日本図書。テナガザルのククルが登場する同名絵本。
夜・空・森。物語の出発点から比べる
| 作品 | 冒険の入り口 | 選ぶときの着眼点 |
|---|---|---|
| ぜったいぜったいねるもんか! | まだ眠りたくない夜 | オリバーの空想と乗り物 |
| そらとぶパン | パンの列車に乗り込む | 雲の向こうに広がるパンの国 |
| ちいさなククル | 船乗りに会いに出発 | 海へ向かう森の道のり |
同じ冒険絵本でも、自由な空想を追うのか、驚く乗り物を楽しむのか、主人公の目的を追うのかで読み味は変わる。読む前に細かな筋を覚える必要はない。表紙を並べて、夜空、パン、森のどこへ出かけたいかを選ぶだけでも、本を開くきっかけになる。
元投稿には、くまくんが散歩に出かける『いってきまあす!』(わたなべしげお文・おおともやすお絵)と、月面の遠足で生徒が取り残される『みらいのえんそく』(ジョン・ヘア作・椎名かおる文)も登場する。後者の正式な作品情報はあすなろ書房に掲載されている。本記事の商品カードでは、夜・パン・ククルの3冊を紹介した。
気になる表紙が見つかったら、作者名と書名を合わせて商品カードを見てみよう。読み聞かせをしながら一緒に旅を進めるのも、子どもが絵を見て立ち止まるページに付き合うのもよい。遠くへ出かける物語を、家で過ごす時間の中へ迎えられる。